一冊一冊個別の記事で感想を書きたかったけど、重い腰が上がりそうにないのでこれから何冊か読んだら一気に記事にしたいと思います。
感想記事はやっぱり書きたいと思っていて、せっかく読んで面白かった本を脳に定着させたいというのもあるし、あとで読み返したときに感想の差異とかを確認するのに役立つなと思ってます。
目次
海辺のカフカ 村上春樹
人生村上春樹2冊目。1冊目はアフターダークを中学か高校の時に読んだ。
よくわからなさすぎて正直つまんなかったので、村上春樹はもう読む気がなくなってしまった。
あとはあまり好きではない知り合いがハルキストだったから、”ハルキスト=きもい” よって、村上春樹もきもいという理論を中学生の自分は持っていた。
読まずにきもいだなんて言えない、と25歳にしてようやく重い腰をあげて村上春樹の本を読もうとし、海辺のカフカにてセカンドバージン卒業。
結論から言うとおもしろかったかな。話の内容は今でも思い出せるし、展開も飽きなかった。
個人的にはキャラクターのセリフ、言い回しが好きでした。
まあ、勃起とかチ○コがやたら出てくるなって感じました笑
まあ少年の成長を表してるのかななんて適当な感想を持っときましたが、なんだかおかしくなってしまった。
ハルキストは女性が多いイメージだけど、彼の性描写についてはどう思いながら読んでるんだろう。
harmony 伊藤計劃
虐殺器官が面白かったので読みました。
人類滅亡の大災害の後、人類は”ユートピア”を築いていた。医学が発達しまくって、ナノマシンで人々の健康状態が監視、管理されるようになって、病気が完全になくなった世界の話。そんな世界が憎くて仕方がない女の子が奔走します。
もちろん酒、タバコは禁止だし、カフェインですら体に害とされています。食事管理も徹底されていて、世界には同じBMI指数の人で溢れている。
面白くて数時間で読み終わりました。これを読むとユートピアの幻想、人間の知性の怪しさといったものを感じてどっしり重い気持ちになります。
虐殺器官とは違ってグロテスクな描写が少ないので、グロが苦手な方にもオススメ。
風邪の歌を聴け 村上春樹
とにかく雰囲気が良い。大学生男子は読んで損はないと思う。
べらべら説明するのはナンセンスだろう。
海を失った男 シオドアスタージョン
短編集でタイトルの「海を失った男」は最後に収録されています。
短編はSFチックでどれも楽しめました。個人的には”シジジイじゃない”がお気に入り。夢ならばどれほどよかったでしょうなんて言う歌がありますが、、
海を失った男は正直に言って何を言ってるかワケワカメでした。文章としては読めるけど、内容が一切頭に入ってこない。めちゃくちゃ真面目なボボボーボ・ボーボボの小説を読んでいるようでした。
レビューを見てると感動した、圧倒的な文章に打ちひしがれたという人もいるので、好みが別れる作家だと思います。自分には少し難しかったです、とほほ。
若きウェルテルの悩み ゲーテ
国語便覧にも載っている名著オブ名著。教養人になりたいとかほざきながら、この作品を読んだことがないのは恥ずかしいという気持ちで買いました。
教養のためなんだから、と仕方なく読んでみましたが涙を流すほど感動しました。
さすが世界現象を起こした作品。まず言葉が美しくて、綺麗な風景が目に浮かびます。あとはなんといっても主人公のウェルテルくん。人妻に恋をして苦しむ姿がもう見ていられません。最初は片思いストーカーだと思っていたのですがそうではなく、意外と脈アリなのが切ないですね。
中高生の時に読んでおきたかった。
新小岩パラダイス 又井健太
なにもかもどん底に落ちて自殺しようとしていた青年がオカマに拾われ、新小岩のぼろアパートでさまざまな人と出会い、成長していく。
絶望からのスタートですが、話は一貫して明るくて元気が出るような話でした。
”人生、お金じゃない。” 主人公の思考は世の中金だ!って感じで自分も正直お金があったらなんでもできる派の人間でした。でもお金だけじゃないんだなって思えたんですよね。お金って死んだらあの世に持っていけないし。
何やってもうまくいかね〜〜〜〜って思っているときに読んで、元気がもらえたので感謝してます。
コンビニ人間
超人気、芥川賞受賞、Amazonレビュー1700超えで星4という圧倒的な作品。
自分自身コンビニで長くバイトやってたから興味を持って買いました。
作者はコンビニ店員やってたのかな?業務から会話、あるあるまで、経験者なら読んでておお〜と思ってしまうでしょう。
主人公は36歳で未婚、彼氏もなし、コンビニ一筋な主人公。感性が少し周りとは違っていて、奇異な目で見られないように過ごしてきました。でも36歳で結婚せず、仕事もコンビニバイトだと周りから”なぜ?なぜ?”と質問されてしまい苦しむ主人公。
普通とはなにか、知らず知らずのうちに人を傷つけていることを考えさせられました。
みんな自分の中に理想みたいなものがあって、”こうじゃなきゃいけない”、”もっとがんばらなきゃ”、”ちゃんと仕事しないと”、と現実とのギャップに苦しむと思います。
この作品を読んで、みんなもっと自由に生きていいのではないかと思いましたが、そうはいっても周りの目が消えることはないし、異質なもの、マイノリティはいつだって奇異な目で晒され、好き勝手言われてしまいます。
人はどうして、人に優しくできないのだろうと悲しくなりました。
疾走 重松清
昔2chでおすすめの本スレみたいなので見かけたのを思い出したのをきっかけに買いました。
最初は一般的な家庭の少年だったのに、どんどん破滅へと転がる、エログロバイオレンスありの作品。
重松清にハートウォーミングな作品のイメージを持って読んだら地獄へ叩き落とされる気分になること間違いなし。
上下巻に別れていて、下巻はすさまじいです。永遠に地獄ですが、最後には希望が残されるのがほんの少しの救いです。
人間の暗さ、弱さが怖いくらいに描かれていて胸やけみたいになりますが、ページをめくる手が止まらない文章。
自分は面白かったと思えましたが、ただただ不快な気分になってしまう人もいると思われます。
賛否が別れる作品ですが、私はかなり気に入ってます。
キッチン 吉本ばなな
高校の国語で吉本ばななを知りました。冗談みたいな名前だな、としか思いませんでした。授業でどんな話を暑かったかも覚えていません。
吉本氏は海外でも人気という話を聞いて、これは日本人として読んでおかなければ恥ずかしいなと重い読みました。
両親が死に、唯一の肉親の祖母も亡くしてしまう主人公。完全に天涯孤独で絶望である。自分が今そういう状況になったらなんて想像もできない。両親に加え、親族すらいない。
そんな状況でも作品は暗い感じはしなくて、かわいらしい印象さえ受けた。出来事は悲しいことばっかりだけど、それでも生きる主人公には美しさのようなものを感じました。
読んでいて優しい気持ちになれる作品。吉本氏の本を暗い気持ちになったら読もうと思います。
ジェノサイド 高野和明
人生で読んだ小説の中でぶっちぎりに面白い。いろんな人がおすすめ、絶賛の嵐のこの作品ですが、あまのじゃくな自分はなかなか読めずにいましたが、正直気になりやっとこさ読了。
どんな話?って聞かれても、ネタバレというか何もも知らずに読んでほしいから何も言えない、そんな作品。
人間は結局は動物で、知性はまがいものなのかもしれない。人類の叡智の限界がとうとう…なんて感想を抱きました。harmonyでもそうだけど、SFは人間が愚かな生物って感じで描かれますよね。
人間なんて所詮そこまでだ、って思えば肩の力を抜いて生きられるし、他人にも”まあ人間だもんな”と寛容になれる気がします。
とにかくおもしろいので読まなきゃ損!
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